携帯電話 (Handy Phone)


ITEM

SKULL RING SERIES

CLOWN
(BSR-004)
25,000yen

BURST 4 APRIL 2003 vol.64


TAKEという人物を友人の首藤(East Peace Rec's代表)から紹介されたのは昨年秋の事だった。以前に本誌増刊号のバーストマニアックス3/日本のパンク職人でも取り挙げられたNAL氏の実弟で本人もシルバー職人とのことだったが、驚く事にある日、彼から見せてもらったのはあのディスチャージ3面ドクロをモチーフとしたリングだった。普段、余りアクセサリーに興味を持たない筆者だが、この出来栄えには心底、感服する以外なかった。この3面ドクロのリングは残念ながら非売とのことだが、それ以降、彼のWorkに強烈に興味を抱き、これ迄の多くの作品を今回見せて頂く事になった。TAKEの魂のWorkに是非、刮目頂きたい。(OVERTHROW REC'S 森下篤)
●シルバーのリングを作り始めたのはいつ頃ですか?
「4年位前です」
●作ろうと思った切っ掛けは何だったんですか?
「仕事で右手の指2本落としてからですね」
●仕事で指を2本落とされたということですが、どうしてなんでしょうか? 差し支えなければ聞かせてほしいんですが。
「前の仕事が電動工具の刃物を作る仕事だったんです。既製品の刃や、注文された木型に合わせて刃先を作るんです。その行程で試験引きと言う、木型どうりに削れるか確認しながら作業を進めていくものがあるんですが、その時に人差し指と、中指を落としてしまったんですよ」
●もともと物を作るのは好きだったんですか?
「昔からものを作ることは好きでしたね」
●なぜ、それがシルバーリング作りだったのでしょうか?
「何となく出来そうだったから。という感じですね」
●シルバーの素材は何を使っているんですか?
「銀92.5%と銅7.5%のシルバー925です」
●シルバー925にこだわる理由は、何かあるんですか?
「別にありません。強いていうなら定番だからってことですかね」
●ハードコアなモチーフが多いですが、それはやはり自分が好きだからということですか?
「そうですね」
●どういったバンドが好きなんですか?
「MAD3やTHE HONGKONG KNIFE……まぁ、いろいろですね」
●作り始めた頃、苦労したことなどはありましたか?
「ただ漠然と『作れそうだ』と思っていたんですけど、実はシルバーの商品をどうやって作ればいいのか、良く分からないのに始めたんで、道具を買ったのはいいけど、使い方が良く分からんとか、思うように道具を使いこなせないなど……色々ありましたね」
●シルバーリングを作る行程を教えてほしいんですけど。
「原型になるものをワックスを削って作り、ワックスというのはロウソクみたいなものなんですが、それを鋳造屋に出しシルバーのものを作ってもらいます。それが出来上がって来たら仕上げです。リングでしたら、サイズを出し、複製を作る時に出来る合わせ目(バリ)やシルバーを流し込む場所(湯道)を荒削りして、500番のサンドペーパーを掛け、刻印をします。それから複製する時に付いた余分なものを取るために、炭酸水素ナトリウムに漬け(重曹漬け)、610ハップ(硫黄)を使って黒い部分を作り(燻し入れ)、歯医者が使っているような道具でリューターというものがあって、先のアタッチメントを代え色々な作業に使うんですが、ここではシリコン製の磨き用のものを使って磨き、モーターの先にフェルトや布を取り付けて使うバフという機械に、研磨剤を付けて更に磨きます。この機械はパワーがあるんで危ないんですよ。たまに小さなものを磨いていると吹っ飛んでいくこともあるんです。その後、付着した残りの研磨剤をバフカスクリーナーという液体に漬け、取り除いたら完成といった感じです。ちなみに、これは独学なんで、正解のやり方なのかは自分でも何ともいえません。なのでこれは参考までに」
●それを1人でやってるんですか? かなり大変な作業そうですね?
「そうですね。でも、もう慣れましたね」
●独学ということですが、作り方は何を参考にしたんですか?
「ワックスを削って作る事は何となく知っていたので、それ以外のことは、シルバーの初心者入門本みたいな本を参考にしました」
●シルバーリングを作るにあたって、大変なことは何ですか?
「右手が3本の指しか使えないので、細かい削りや、仕上げの時のヤスリ掛けが大変ですね。あと石留め(リングを固定して鉄の棒でシルバーを叩き込んで石にかぶせて留める事)なんかも苦労するところです」
●やはり指が3本しか使えないと、力が入らないということもあるんでしょうかね?
「そうですね」
●大体1つ作るのに、どれくらいの時間が掛かるのですか?
「あまり時間を気にして作っていないので、どれくらい掛かるか分かりませんね(笑)」
●それは、作っていると仕事に没頭して時間が経つのを忘れるくらい、楽しい作業だということなんでしょうか?
「そうだと思います」
●今、どれくらいアイテム数があるんですか?
「新しく始めるブランド、『bacillus』は13種類です。間に合わなかったんですが逆さ十字の通常版も『bacillus』であります。以前からやってるブランド『sclap』のものも数点ありますが、新ブランドに移行した物もあります」
●新ブランド『bacillus』を立ち上げたということですが、何か新しいものを始めようと思う切っ掛けがあったんですか?
「自信がなくなって、やる気がなかった時期があったのですが、そんな中で自分を表現する手段がこれしかないと思い、心機一転。ということですね」
●今後の新作の情報があったら教えて下さい。
「現在3種類形になっているのですが、『toccata』から13pit出す予定です(spungen、逆さ十字、骨)」
●13pitとは何ですか?
「13種類のペンダントトップということです」
●作業場はどこになるんですか?
「自宅です」
●自宅で作業ということですが、作業的に楽に出来る状況なんですか?
「没頭してやれるから、まぁ良いですね」
●自分の作品を自分で直接お客に提供できるということは、すごくいいことだと思うんですが、直接お客に接しての感想等はありますか?
「『MODERN PIRATES』では働いているんですが、接客はしてないので……何とも」
●でも、すぐに自分の作品が売れたことは分かるんですよね?
「そうですけど、現実は厳しいですね」
●この商品を、どんな人に身に付けてほしいですか?
「自分の作ったものを、気にいってもらえたなら誰でもかまいません。なので、こういう人にっていうのはないですね」
●これからの展望などありましたら、教えてほしいんですが。
「これを機会に、色々な人が自分の商品に興味を持ってくれたらいいと思うだけです。出来たら1人でも多くの人に実物を見てほしいですね。」

CONTACT

bacillus@basementclub.com